■ 14MHz LPFの試作 ■ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
久し振りの"無線ネタ"である。バイクばかりに跨っている訳ではなく、マメに電子回路(というほどでもない簡単なモノ)と格闘もしている。残念ながらこのバトル、かなりの確率でHYDが負けている。で、今回は「本日のメーン・イベントで〜す」のデス・マッチ前の、前哨戦の位置づけのモノである。電子回路と言えるものではなく、ごくありふれた高周波帯のフィルタである。 GU−74Bを用いたゲタ箱(リニアアンプ)の製作日記は別ページに載せているが、コイツは田舎(岐阜県飛騨市)にQSYしてから使用するツモリの14MHz専用のリニアである。コレを使用するには、電波検査を受けなければならない。市販品と異なり、自作のリニアアンプでスムーズに『合格』のハンコを貰うためには、イロイロと小細工が必要なようだ。その中でもスプリアス規定を楽勝にクリアするためにLPFを挿入しておくのが定石らしい。でも、連続1KW対応のLPFをイキナリ製作するのは、イクラなんでも無謀なバトルになりそうなので、先ずは連続100W程度のLPFを試作してみた。 復刻された「トロ活」(CQ出版、トロイダル・コア活用百科)は名著と思っている。ズイブンと活用させて貰っている。この本の中にトロイダルコイルによるLPの設計法が詳細に記述されている。100W程度の出力を扱うのなら、トロイダル・コアによるコイルでも問題なさそう。でも1KW連続となると、やはり難しそう。というかメチャ高価になりそう。となると、シールドするのが面倒くさくなるが、ココは空芯コイルによるLPFだなぁ。試作ということもあるので、定K型の3段(1/4λタイプ)として製作を容易にしよう。手持ちのコンデンサ(ディップマイカ200pF)を活用するため、カット周波数を15.9MHzとした。220pFを用いて14.2MHzのカット周波数にするのがスマートなんだが、リサイクルというかエコというか、ケチというか...。回路図は、コチラをご覧あれ。 |
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回路図は、参考になるものではないが、板金工作(というかプラ工作)の方は少しは参考になるかもしれない。一部のデジ写真を掲載します。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
カッターで切り出し | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ブロックを半田付け | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コンデンサを取り付け | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コイルを取り付け | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
試作というコトでもあるので、板金工作を極力減らすようなまプリント基板を多用した。しかも安くなるように片面のプリント基板である。ジャンク箱に眠っていたヤツを引っ張り出して来たが、ビニール袋に入れていたためかピカピカである。コイツから15cm×5cmの長方形を3枚切り出し、5cm×5cm(実際には基板の厚み分を加味)を4枚も切り出した。「アレッ、蓋(フタ)はしないの?」という貴方、正確な疑問ですナァ。プリント基板は半田付けで張り合わせていけるが、フタだけは出来ない。それでフタにはアルミ板を用いることにした。小さなLアングルを利用してビスでアルミ板を留めるように考えた。これら全てリニア製作の残りもので、費用はゼロ円。 さぁてとぉ、ココまでは参考にならないようなコトばかり。肝心の性能はというと、イキナリ |
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■ 測定データ ■ @通過ロス 1.9、3.5M、7、10MHz : 0.3dB 14MHz : 0.1dB 18MHz : 0.3dB 21MHz : 1.0dB 24MHz : 17.4dB 28MHz : 31.6dB 50MHz : 55dB以上 AVSWR 1.9MHz : 1.3 3.5MHz : 1.7 7MHz : 2.1 10MHz : 1.5 14MHz : 1.05 18MHz : 1.2 21MHz : 1.8 24MHz : ∞ 28MHz : ∞ |
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というデータが得られた。ここで、「??」となったアナタ、「ところで調整は?」となる筈である。これも正しく正確な疑問である。このLPFに魂を入れる調整方法が、どの程度に簡単/大変なのかを知りたいのが試作の目的だったので、ぢつはHYDもココに注目していた。ところが、上記のデータは全て無調整である。コイルを伸ばしたり/縮めたりしたが、14MHzのロスは殆ど変化なし。全く意外な結果であった。 リニアを製作する際、なかなかパワーが出ずに終段π回路のLの値をイロイロと変えたことがある。この時に、精密にインダクタンスを測れる測定器が欲しくなり、CYTEC社のキット「ポケットLCメータ」を製作していた。コイツは無調整で正確なLとCの値を測ってくれるスグレ物である。これを用いて0.50μHとなるようにコイルを巻いただけで、全く無調整である。シールドに囲まれた中に入れることにより、CもLの値も変化する筈なので、最終的にはコイルの伸縮で調整するツモリであったのに。 |
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フタを取り付け | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
測定データ書き込み | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
もう一つの関心事は、通過電力ではなかろうか。計算をしてみると、コンデンサの必要な耐電圧は1KWで230Vとなる。ディップマイカの耐圧は500Vなので、これはクリアしている。が・しかし、いかんせん、このコンデンサの耐電流の値が分からない。連続100Wでしばらく放置プレーをさせてみたが、コイルもコンデンサも全く熱を帯びていなかった。どうやら100W程度では全く問題なさそう。VSWRさえ正常であれば1KWでもOKかもしれない。しかしイクラ何んでも、これでは心配。1KWクラスの市販のLPFの内部写真を見る限りでは、テフロンのような誘電材を用いたコンデンサを使用しているようである。その内にHYDもテフロン・シートでコンデンサを製作して、1KW程度を通過できるヤツにチャレンジしてみるツモリである。 14MHzのリニアなので、2倍波の28MHzが30dB以上減衰されるということで、コイツの大型のものを製作すれば、電波検査も楽々に終わるだろうナァ。おぉ〜っと、先ずは地上高の高いシッカリとしたアンテナを建てなくちゃぁ。 2010-11-24 JA2HYD/1 |
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