■ パンザ・マストの建柱 ■
 スッカリと月日を忘れてしまったが、たぶん2007年の秋に、パンザマストの中古品を入手していた。実はローカルのOMさんが、アマ無線を止められたということで、パンザを撤去することになり、鉄塔建設業者に撤去工事を依頼したようである。この業者に鉄塔工事を依頼したことがあるOMさんからQSPがあり、「中古のパンザが出てきたがHow?」という話が飛び込んだ。早速、このパンザを建設業者から格安で譲ってもらって、田んぼの小屋の脇に保管していたのである。で、ズイブンと雨ざらしにしていたが、リタイアした2011年春にクダンの建設業者と打ち合わせし、パンザの建柱をお願いした。

 当初は、スグにでも建てて欲しかったのだが、現場を見た業者が「今の時期に建てることも出来るが、周りは丁度田植えをしていて
、田んぼに水が張ってある。穴を掘ると、水がアチコチから出るので、この止水工事だけでも大変である」と話され、「それじゃ、稲刈りの終わった秋で、そちらの暇な時に工事をして欲しい。時期や工事方法など、そちらの都合で構わない」となった。ただ、「こちらからの要望は、コンクリートで基礎部分をうって欲しい」とだけお願いした。業者さんは「コンクリートをうつ必要はないが、うてばそれだけ強度は増すので安心でしょうね」ということであった。

 それから指折り数えて稲刈りの時期を待った。10月に入って稲刈りも終わり、田んぼの中も乾いた状況になったので、「そろそろ、工事はどうでしょうか?」と業者に依頼すると、「今は忙しいので11月中旬では如何でしょうか?」となった。早くしないと、パンザを建てても雪や寒冷でアンテナを上げられない。でも、アセっているのはオクビにも出さず「お任せします」と鷹揚な返事をした。で、11月下旬になり、突然「今日から始めます、まず穴を掘ります」という連絡であった。

 朝飯を終えてシャック(自宅から1Km離れた田んぼの中の小屋)へ向かいます。業者の社長一人が小型のシャベル機で穴を掘っている。重機が入られる部分もあるが、周りの半分は田んぼの中なので、足場を確保するため、ブ厚い鉄板を田んぼの中に2枚敷いて、その上でシャベル機を動かしている。で、今日は雨模様なので、初日は穴を掘るだけで終わるのだろうと勝手に考え、用事があったので自宅に一旦戻った。昼飯後、どんな穴を掘ったのだろうと見に行きます。

 するとどうだぁ、もうパンザを組立て、マサに立てようという状況であった。朝は社長一人であったが、若い社員の方も3人居り、総勢4人での作業である。パンザを長期間保管していたのは、それぞれのパイプを分離し、2mの長さにして全部を筒の中に入れた状態であった。それを繋ぎ合わせて柱状にしてある。但し、頂上側の1〜4番のパイプ部分は取り付けていない状態である。全部を繋ぎ合わせて立てるのではなく、5番以降の柱状となったパイプ部分を立てて、それから4番、3番とパイプを差し込むらしい。こういう建柱方法を行う理由は聞かなかったが、バランスや強度の問題なんだろうか、それとも長過ぎて工事に支障が出るためなのだろうか。いずれにしても5〜14番パイプの建柱が「アッ」という間に終わった。14番と13番の一部は地中で、13番以前が地上部分である。
 さて前々から、どうやって垂直に立てるのか興味があった。この方法はシゴク原始的であったが、必要にして十分であることもヨク分かった。その方法とは、@パンザから20m程離れたほぼ直角の2地点にそれぞれ棒を立てる Aその棒に糸を結わえ、糸の先端にボルトの錘を取り付ける B当然、糸は垂直にブラ下がる Cこの糸の垂直度から、パンザの垂直度を2箇所から見て傾きを見る  であった。また、この修正は、Dパンザに鉄製ロープを巻き付ける Eロープをシャベル機のシャベル部分に結わえ Fシャベル部分を動かすことで修正する でもあった。人間の眼というのは、ヘタな測定器より優れており、垂直度は1度以内には確実に収まっているだろう(測定していないが実際には0.1度以内だろうナァ)。それにしても原始的ではある。

 この後、シャベル機のシャベル部分で、基礎部分を何度も打って圧し固めます。人手でも地面を打ち付けます。ただ、基礎部分にコンクリートを流し込むので、地表から60cmほどは何もない。多分1m強だけが地下に埋まっているのだろう。このような状態で、これからパンザに登って4番3番を差し込むらしい。上の方の細い3番でもかなりの重量である。まして4番はサラに重い(後から調べると、19Kgであった)。これを差し込むのは、何か支持する棒のようなものを先端部に取り付け、滑車で吊り上げて差し込むのかと思った。しかし、そうではなく、人手だけで「ヨイショ」と担ぎ上げ差し込むらしい。勿論、足場の悪い狭い場所で行うので、二人で出来る作業ではない。頂上部までは滑車であげるものの、そこからは腕力だけである。若い社員が差し込むらしい。地上で、肩まで実際に持ち上げ、そこから一気に差し込むイメージトレーニングを何回もしている。地上の足場の良い所でも難儀する作業である。これが地上15mの足場の悪い(というか、足場の無い)所で行うのである、さぞや大変であろう。

 で、スルスルと滑車で4番のパイプが上げられ、瞬く間に差し込まれた。続いて3番の細い方も「アッ」という間であった。最後に、太い木材で上から叩き込んで完了です。穴を掘った際に出た残土をトラックに詰め込むと、ちょうど日も暮れて暗くなった。ここで本日の作業は無事終了です。それにしても、小雨で寒い中での作業、トラブルも無く良かったです。

 
■2番と1番の細いパイプ部分は、強度の問題と建築基準法(?)からくる『15m以上の構造物は許可が必要』から使用していません
  あくる日も、雨。それでも、昼過ぎになってから若い衆が3人で基礎部にコンクリートを流し込むための準備作業を行った。高さ80cm、1m四方にコンクリートを流し込むため、@鉄筋を入れて強度を増すため、鉄筋部分を組み立てる Aこれも水平度・垂直度をみながら丁寧に組立て B『コの字』型のアングル10本以上、棒状のアングルも10本以上を使用 。この後、Cコンパネで四方を覆い Dコンクリートの重みと圧力で+コンパネが動かないように杭や番線で補強 E法面に傾斜を持たすためプラ製の棒を打ち付け F表面の水平度を最終確認 して作業終了。今日も雨の中、泥だらけになりながらの作業、ご苦労さんでした。
 翌日、朝早くから社長一人が来て、昨日の作業の細かな修正作業を実施した。どうやら若い衆の作業が気に入らないご様子。そうしている内に、コンクリート・ミキサー車が到着。万全に補強された木枠の中にコンクリートを流し込みます。電動の振動ミキサー機をコンクリートの中に突っ込み、撹拌します。10分ほども撹拌して、雨による影響がないように、ブルーシートで養生して、後は固まるのを待つだけ。社長曰く「冬用のコンクリートを入れた、2t入れたので、パンザの上部が壊れても、下部は絶対に大丈夫」との有難いご託宣。
 3日後、木枠を外し、周りに土を入れて、再度硬く突き固めれば完成です。鋼鉄板2枚やら重機、その他モロモロの機材を運び出して後片付けが済めば終了です。後は、支払いを済ませれば完璧。費用はズイブン安くして頂きました。公開しませんので、興味ある方はメールを下さいナ。
 ■後日、シッカリとした安全帯・ヘルメットを購入し、入念な準備をしてパンザに登ってみました。頂上部に近づくにつれ、揺れているのが分かります。「ゲェーッ、動いている、怖ぇ〜!」と叫びながらもデジ写真を撮って来ました。それでも、「慣れ」とは恐ろしいモノで、小さな足場を2箇所、ローテーターの取り付け金具2箇所、ローテーター本体を一人で取付けました。ウソ、ローテーターの取り付け金具(下部側)だけは重いので、ローカルのOMに手伝って貰いました。滑車を取り付け、引っ張る役をして貰いました。この時、滑車を用いれば、一人でもかなり重いモノも持ち上げられそうだと気付き、以後は一人で作業を実施しました。ただし、一日で3往復が限界です。次の日、筋肉痛に悩まされますので、 ●苦Hi
西方向 南方向
北方向 東方向
■アンテナを取り付けたいが、雪が舞う時期になってしまったため、アンテナの組立てやら、これをパンザの上に上げてローテーターへ取り付けるなど、ちょっと無理かも。来春になる可能性大ですネ。14/21/28MHzのSpider Beam Antennaを上げるつもりですが、来春までハイバンドのCondxはNGだろうから、「まぁソレも良いかぁ」と考えています。

★皆さん、鉄塔を建てられる方が多いですネ。HYDも当初は安全性の高い鉄塔を考えましたが、費用と撤去方法を考えパンザにしました。自立式のパンザでは大型のANTは上げられませんが、還暦を過ぎたHYDがアト何年アマ無線を楽しめられるか、しれています。その時の鉄塔の撤去を考えたら、ちょっと大変だろうなぁ、となった訳です。その点、パンザは建柱も撤去も簡単です。