■   PTT遅延回路  ■
  リニアAMPを動作させたり、プリAMPを動作させるには、PTT遅延回路を挿入する必要がある。何故に必要か、というと、例えば、

■受信から送信への切替時にプリAMPのoffがTRXより僅かでも遅れてしまうと、プリアンプに強大な信号が入力され、簡単にプリAMPの半導体が壊れてしまう。
■・リニアAMPのANTリレーが動くタイミングで、TRXからの入力が入ってしまうと、虎の子の真空管やANTリレーに強烈なストレスが加わってしまう。
■リニアAMP動作時に、TRXより早くリニアAMPがoffになってしまうと、この僅かな時間TRXがアンテナに接続されていない無負荷の状態となり、TRXのファイナル段にストレスが加わる。

という具合である。
 でも、リニアを使用されているOMsでも、PTT遅延回路を入れていない方が殆どなので、「まぁ、必要性は殆ど無い筈」と思っていた。...のだが、ANTリレーを壊した事例をカイマ聞くに及び、念には念を入れて回路を製作することにした。リレーの動作時間・チャタリングなどに影響されないように、余裕を持って受信→送信→受信と切替られるようタイムシーケンスは次のように設計した。
  このシーケンスをディスクリートで組むと大ゴトになるが、ここはPIC(マイクロチップス社の16F84A)で簡単に済ますことに。ソフトの方も割り込みを使用せず、極めて簡単にして確実性を狙った(うそ、試験が面倒だったための手抜き)。当初、水晶をケチるため、いつものように「RC発振」としたが、C値が経年変化することが予想された(「ヲイヲイ、お前は幾つまで生きるツモリなんだよぉ?」は無しネ)ので、ジャンク箱に眠っていた、怪しげなる3端子セラロック(2.0MHz)で発振させることに途中で変更。例によって、ケータイ充電用モジュール(5.6V−600mA)を分解して、電源回路に転用することにもした。
ケースを外したケータイ用の充電モジュール
 またリニアやトランシーバーの送信on/offのSWには、パワーFETにて動作させるつもりであったが、ここも作り始めてから方針変更。PICのデジタル系のグランドを分離したいこと、キロ・ワット運用では信頼性は劣るが確実性を狙った方がFBだろうと、メカニカル・リレーとした。直接リニアのANTリレーなどの大きなリレーを駆動する訳ではないので、基板取り付けのモールド型の小型リレーとした。またPTT−SWは外付けとなるが、PCソフト(MMSSTVやMMTTY等)でのSSTV/RTTY運用を考慮し、RS−232CからのPTT信号でも動作するようにフォト・カプラーを介してのON/OFF動作も可能にした。回路図を見ていただければ分かるように、ごくごく簡単なモノです。

    ■ PTT遅延回路図 ■
★ せっかくPICを使用したので、前々から使用してみたかったタクトSWによるPTT機能を追加した。タクトSWのクリック感が好きなのだが、いかんせんモーメンタリーSWであるためPTTには使用し難い。わざわざF.F.回路を組み込むのもナァ、と思っていたのだが、PICでこのフリフロを実現して上げる。ついでに、タッチセンサーも組み込んでみた。このタッチセンサーはKWの運用では確実な動作が危ういので、オマケのつもり。

  ユニバーサル基板上に組み込んだが、イトも簡単に組み立て終了。イヨイヨ魂を入れるべく、動作確認段階へ移行。心配していたセラロックでの発振であるが、マイクロチップス社の資料には、「3端子セラロックでの動作確認はしていない」というコトであったが、XTモードで難なく発振。サイ先が良いので、デバッグもイトも簡単に終わるツモリで、しばしコーヒー・ブレーク。ところが、一服した後がイケナイ。タイマー・ルーチンを100倍にして、T1=T2=10secとして、シーケンスと動作時間を確認しようとしたのだが、外付けPTT−SWをONとするも、全く動作しない。まぁ、いつものコトなので格別には驚かなかったが。ソースファイルを眺め、オカシナ部分を修正して、リレーがガチャ・ガチャ動作する段階になった、もう一息である。ところが好事魔多し、ここから半日以上もデバッグするハメになってしまうとは。
 これまでPICを利用した電池動作のモノをいくつか製作していたのだが、乾電池の寿命を延ばすため20KHzとか30KHzとかの超低速で動作させた経験しかなかった。今回のように、2.0MHzともなるとハード的にもイロイロ考慮しなければならない点があるのだが、この点に全く気が付かなかった。
 また、ソフト的にもBTFSCBTFSSの2つの命令を使用しているのだが、ハード・バグと絡んでしまい、頭の中は大混乱である。シマイには完全に悩乱状態。僅か100行にも満たないソースのデバッグに、何と半日以上も掛かってしまった。このため、10secとしたシーケンス確認と遅延時間の確認後の、コーヒーの美味いこと、美味いコト (苦Hi
完成したPTT遅延基板
  10secを100msecに戻し、最終確認を実施。T1とT2のLEDが瞬き、PTT動作のLEDもマブしく点灯して、どうやらシーケンス通りに動作しているようだ。勿論、PTT OFFも同様に動作している。さぁてとぉ、いよいよケースへの組込みだぁ。
...なのだが、PTT遅延回路だけをケースには入れないツモリ。どうせなら、とばかりにアレコレと付加回路も一緒にケース内に組み込むツモリ。ケース代をケチるため、というより、作業が大変な穴あけ加工の手数を減らそうというのである。

 <何を組み込むのか、は乞うご期待
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